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空き家の解体費用|実家は誰が払う?費用がない時の補助金も

空き家

近年、使用されていない家屋の増加による空き家問題が話題となっています。

空き家の解体には費用もかかりますし、煩わしさから放置しているという方もいるのではないでしょうか。

しかし、使用していない空き家は管理が行き届かず倒壊のおそれもあるため、売却したり解体したり、何らかの対策を取らなければなりません。

そこで今回は以下の内容で紹介します。

空き家の解体費用の補助金や費用がないときの対策などもまとめているので、「空き家を処分したいけどどうすれば良いか分からない」という方はぜひ参考にしてくださいね。

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空き家放置の問題とは|なぜ増える?

「空家等対策の推進に関する特別措置法」で定義される「空家等」とは、「概ね年間を通して居住やその他利用がされていない建築物(住宅に限らない)」を対象としています。

中でも現に人が住んでおらず、長期にわたって不在であり、そのまま放置される可能性が高い空き家は平成10年~平成30年の20年間で約1.92倍に、戸数にして182万戸から349万戸へと増加(参考):国土交通省-空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

空き家は今後急速に増加していくと考えられ、近年問題となっています。

空き家が増える原因

空き家は以下のような原因で増えていると考えられています。

  • 居住者の死亡/転居
  • 実家を相続した子などが居住しない
  • 家への愛着から売却しない
  • 「将来親族の誰かが使うかもしれない」と考え、賃貸に出さない

空き家は親が老人ホームに入居するなど、思わぬきっかけで発生します。

将来的に空き家になる可能性のある家屋については、事前に空き家となった場合の対策を話し合っておくと安心です。

空き家の放置で起こり得る問題

空き家を放置することで起こり得るトラブルがこちらです。

  • 家屋の倒壊
  • ごみの不法投棄
  • 野生動物や害虫の巣となる
  • 雑草の繁茂
  • 不法侵入・不法滞在

適切に管理されていない建物は劣化が早く、上記のように危険を伴う上、景観・治安の悪化を招きかねません。

また、以下に一つでも当てはまれば自治体から「特定空家等」と認められることになります。

  • 倒壊など著しく危険となるおそれがある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれがある状態
  • 適切な管理がされておらず著しく景観を損なっている状態
  • 周辺の生活環境を乱している状態

特定空家等に認定されると、自治体は所有者に適切に管理をするよう助言や指導を行います。

これに従わない勧告や命令を行いますが、所有者が命令に従わなければ、最大50万円以下の過料に処される場合もあります

また、土地に対する固定資産税の特例から除外されるといったデメリットもあるので、空き家は放置せず処分したり何らかの対策を取るのがおすすめです。

⇒特定空き家に認定されると行政代執行の対象となる?

空き家の解体費用|取り壊し処分の相場は?

空き家の解体費用の相場がこちらです。

建物構造 1坪あたりの費用
木造 4万円前後
鉄骨造 6万円前後
鉄筋コンクリート造 7万円前後

また、以下のようなケースでは解体費用が割高になる可能性があります。

  • 重機の通れない細い道沿いの建物(解体/廃棄物の運搬も人力のため、人件費がかかる)
  • 火災で焼けた建物(作業中に倒壊する危険性があるため、慎重な作業を要する)
  • 敷地いっぱいに家屋が建っている(駐車スペースがなく、重機が入れない)
  • 室内に荷物が残っている
  • アスベストが使用されている建物

その他、庭木の伐採が必要な場合など、状況に応じて建物解体以外の費用がかかることもあるので注意しましょう。

30坪の相場

30坪の建物を解体するときの費用の目安がこちらです。

建物構造 1坪あたりの費用
木造 100万~150万円
鉄骨造 160万~210万円
鉄筋コンクリート造 180万~240万円

建物構造だけでなく、立地や建物の状況によっても費用は変わります

より正確な費用が知りたい方は解体業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。

50坪の相場

50坪の建物を解体するときの費用の目安がこちらです。

建物構造 1坪あたりの費用
木造 180万~230万円
鉄骨造 270万~320万円
鉄筋コンクリート造 320万~380万円

一般的に2階建てより平屋の方が基礎部分の面積が広いため、割高になります

その他、地下室や駐車場がある場合も費用が高くなるので注意しましょう。

空き家の解体費用の補助金や助成金【国土交通省】

国土交通省では「空き家対策総合支援事業」として、空家法を積極的に活用して、空き家の除却や活用、関連事業など総合的な空き家対策に取り組む市町村に対して支援を行っています

これにより自治体は空き家の所有者に対し、積極的に以下のような解体費用の補助金や助成金を出せるようになりました。

それぞれ詳しく紹介します。

老朽した空き家の補助金

老朽化による倒壊の危険性が高い家屋の解体費用を補助する「老朽危険家屋解体撤去補助金」。

支給条件には自治体の認定や耐震診断などがあります。

支給額は自治体によって異なりますが、解体費用の1/5~1/2で上限額50万円であることが多いです。

倒壊の危険性以外にも、衛生上有害であったり周辺環境に著しく悪影響を及ぼす「特定空家等」に認定されると補助対象となる可能性が高いです。

耐震建替え補助金

古い木造住宅は現行の耐震基準を満たしていないことが多く、地震による倒壊の危険性が高いです。

そこで、自治体によっては建替えのための補助金を支給しているところもあります。

多くの場合、以下のような支給条件が設定されています。

  • 昭和56年5月以前に建てられた木造住宅
  • 耐震診断の評点が1.0未満

支給額や条件は自治体によって様々ですが、耐震診断費が全額支給されたり替え費用として100万円以上補助してもらえたりします。

古い空き家を所有していて売却や賃貸に出すことを考えている方はチェックしてみてくださいね。

空き家を解体しても固定資産税が減免される自治体

空き家を解体して更地にすると、固定資産税や都市計画税が高くなります

固定資産税は毎年1月1日時点の土地の状態で判断され、土地上に建物があれば「住宅用地に係る特例」の適用が可能です。

更地であれば、固定資産税は以下の基準で計算されます。

更地の固定資産税=1月1日時点の課税標準額×1.4%
(更地の課税標準額:固定資産税評価額×70%)

つまり、空き家を解体した後は固定資産税が3~4倍ほど高くなるということになります。

「固定資産税が高くなるなら空き家を解体するメリットがない」と考える方もいるかもしれません。

しかし、空き家を解体すれば建物の維持費がかからなくなりますし、更地の方が買い手が見つかりやすいといったメリットがあります。

また、以下のように固定資産税の減免をしている自治体もあり、活用すれば負担を減らすことも可能です。

市町村 減免施策
新潟県三条市 減免対象空家の解体後、住宅用地特例が
適用されなくなった年度から上限2年度間
特例が適用された場合の税相当額との差額を減免
徳島県鳴門市 住宅用地特例が適用された場合の賦課相当額との
差額を10年間減免
(6年度目から10年度目にかけて段階的に減免解除)

上記の他にも自治体ごとに様々な減免措置が取られているので、空き家のある市町村の公式サイトや役所で確認してみてくださいね。

空き家の解体費用は誰が払う?実家の場合

実家の解体費用は相続人が支払います

遺言がない場合、相続人になれるのは配偶者・直系卑属・直系尊属・兄弟姉妹と民法で定められています。

相続権の優先順位は

  1. 配偶者
  2. 直系卑属(子・孫)
  3. 直系尊属(親・祖父母)
  4. 兄弟姉妹、甥、姪

となっていて、順位の高い人が相続権を放棄すると下の順位の人に相続権が移行します(=解体費用を負担)。

相続人がいない場合や相続人が相続権を放棄した場合、清算人となる弁護士や自治体が解体申請をして、売却価格から解体費用を清算します。この場合、相続した人に解体費用の支払い義務はありません。

空き家の解体費用がない!お金がない時の対策方法

空き家の解体費用を捻出するのが難しいときにおすすめな対策方法がこちらです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①空き家解体ローンを利用

空き家の解体費用がないときにおすすめなのが、地方銀行などが提供している空き家解体ローンを利用すること。

その名の通り、空き家の解体を目的として借り入れられるローンで、金利が非常に低く、保証人や担保も不要とハードルの低さが特徴です。

借り入れ期間や利用条件、金利などは金融機関によって異なるので、銀行窓口で確認しましょう。

②買取業者に売却

空き家買取とは仲介による売却と異なり、不動産会社に直接物件を買い取ってもらうことを指します。

買取業者は物件を買い取った後に修繕や解体して再販するため、この費用分が差し引かれ、相場よりも安い売却価格となる傾向にあります

しかし、仲介では買い手がつかない物件も再販ノウハウのある業者なら買い取ってくれるケースも多いです。

また、買取なら売主と業者の双方が合意すればすぐに売却&現金化できるため、空き家の処分を急いでいる方にもおすすめな方法と言えるでしょう。

③賃貸運用などで有効活用

空き家をそのまま貸すことができれば解体費用がかからず、日常的な手入れも入居者に任せられ、家賃収入も発生します。

ただし、古い空き家だとリフォームしなければ入居希望者が現れない可能性もあり、修繕費の数十万円~数百万円を負担しなければならないことも。

運用期間でリフォーム代を回収できないと損をしてしまうので、不動産会社に予算の相談や運用予想を立ててもらうのがおすすめです。

空き家を行政が取り壊しすると費用負担のリスクあり

空き家の管理が適切にされておらず、状態が著しく悪いと所有者に代わって行政が空き家を解体・除去することがあります(=行政代執行)

行政代執行の対象となるのは以下に当てはまる「特定空家等」です。

  • 倒壊など著しく危険となるおそれがある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれがある状態
  • 適切な管理がされておらず著しく景観を損なっている状態
  • 周辺の生活環境を乱している状態

行政代執行による解体費用は所有者に全額請求されます。

この場合の解体費用は自分で解体業者に依頼した場合より高額になるケースもあるので注意が必要です。

行政代執行による解体費用の支払いに応じないと差し押さえの対象となったり、自己破産をしても徴収されることがあったりリスクを伴うので、放置するのは避けましょう。

まとめ

今回は以下の内容で紹介しました。

  • 空き家の解体費用の相場は木造⇒4万円、鉄骨造⇒6万円、鉄筋コンクリート造⇒7万円ほど
  • 特定空家等は命令や過料の対象となったり、行政代執行による解体の費用負担の可能性あり
  • 空き家の解体費用の補助金がある自治体が多い
  • 実家の解体費用は相続人が支払う
  • 解体費用がないときは空き家解体ローンの利用や買取業者への売却が◎

空き家は今後も増加すると考えられていて、所有者には解体か活用の判断が求められています。

空き家を解体する場合、家屋の状態や立地にもよりますが、100万~250万円ほどかかることが多いです。

費用もかかるのでなかなか処分を実行できないという方もいるかもしれませんが、補助金などの制度を活用すれば自己負担を最低限に抑えられます

ぜひ今回の記事も参考に、空き家を適切に処理してくださいね。

▼参考にしたページ一覧

(参考):国土交通省-空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

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